第24回 小学生でも分かるお金と投資の『そもそも論』③


さて、今回は投資の話です。

前回のたとえ話ではAさんもBさんも労働によって富を築きました。しかし富を築く方法は労働だけではありません。労働によって得たお金を貯蓄して大きな資金を貯められれば、その貯めた資金と知恵と勇気の力によって富は増やせます。これが投資です。では次のもうひとつの例え話で「なぜ投資によってお金は増えるのか?」について説明いたしましょう。

⚫️例え話2:『湖から遠く離れた町の話』

①あるところに町がありました。とても住み良いいい町なのですが、飲み水など毎日の生活用水を得るために10km 離れた湖に水をくみにいかなければなりませんでした。最初は各自くみに行ってましたが、やがて力自慢の人たちが「水運び」を仕事にして町の人々の水を運びました。10km の往復はきついですが、1回運べば1万円もらえたので良い稼ぎになりました。が、やはりかなりきつい仕事で水運びの仕事をする人は身体を壊しやすいと言われました。また町の人々にとっても毎回の1万円は正直かなりきつい出費でした。

②ある時、ある1人の人が次のようなアイデアを思いつきました。「そうだ!湖から町まで水路を掘って水を引けば良いのではないだろうか!」しかし10km もの水路を掘るのは並大抵のことではありません。水路を掘るには、大勢の人夫さん達に長期間働いてもらわねばなりません。その給料をどうするか?とにかくまとまった巨額のお金が必要です。そこで彼は出資者を募集しました。

③もし水路が完成したら、町の人々はその水路から一回水をくむのに千円出すと約束してくれました。1万円払うよりもはるかに激安ですから街の人々は大歓迎でした。

④水路が一度完成したらそこからの収益はほぼ半永久的に続きます。出資者にとってこれは極めて魅力的です。でも、もしかしたら失敗するかもしれません。途中に硬い岩盤が現れたら? 工事が途中で万が一にも頓挫してしまうと出資したお金は全て無駄になってしまいます。

⑤そこで出資者たちは工事予定地を綿密に調査しました。そして結論が出ました。「水路は必ず完成できる」と。しかしもしも予想外の事態が起こってしまったら? 出資者達の中には未来の不確定性への不安感から降りる人も出てきます。

⑥しかしお金と知恵と勇気とを持つあるひとりの投資家が決断し莫大なお金を出資しました。そのお金を使って大勢の人夫さん達が集められました。最近不景気で仕事が無かったので、この大工事は大勢の人夫さん達に仕事を与え、彼らの生活を大いに潤しました。

⑦そしてついに工事は完成しました。

湖から町までの10km にも及ぶ水路が完成し、町の人々の生活コストの大部分を占めていた水代が一気に10分の1になり、町の人々は大喜び。彼らは余ったお金で生活を今までよりも豊かにすることが出来ました。

⑧アイデアを思いつき、出資者をつのるなど多大な貢献をした最初の人は、この水路会社の社長となり巨大な富を得ました。リスクを取って多額のお金を出資した投資家は、この水路会社の株主として長期間に渡り多額の配当を受け続け、さらにさらに莫大な富を築きました。

⑨投資家の巨大になった富は、次なる水路事業に投資されることが決まっています。なぜなら、水源が遠くて困っている町が、この国にはまだまだ沢山あったからです。これらの工事が次々と完成するたび、恩恵を受ける人々の数は天文学的に増え続けました。それに伴い水路会社の利潤も天文学的に増え続けました。そしてあの時出資を決断した投資家は、この国一番の大富豪になりましたとさ。おしまい。

以上で例え話は終わりです。

投資家は労働は提供しませんが、莫大な資金を出せる資金力と、人々が尻込みするようなリスクを背負う勇気と、失敗を巧妙に避けて成功に辿り着ける知恵とがあります。そしてほとんどの場合その結果生み出される富の量は、労働がもたらす富の量よりも桁違いに巨大です。

以上が「投資によってなぜお金が増えるのか?」という問いへの本質的な答です。

復習しましょう!

お金(富)とは、そもそも増える性質があり、時間の経過とともに増えて当たり前の存在です。そして投資できる勇気ある人はより大きいスケールでより多くの人々を幸せにし、この結果、よりスピーディーにみずからの富も爆増させます。

以上で、お金と投資の「そもそも論」の説明はおしまいです。

(文: UEDA / 挿絵:αβγ)


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