第27回 相続税対策をしないという相続対策


私は株式投資家であるからだと思いますが、相続税対策には否定的です。確かに最高税率55%は痛いかもですが、逆に言えば約半分は残してくれるとも言えるわけです。

そもそも相続を受ける方は「棚ボタ」な訳ですから、半分くらい納税したって、どうってことないでしょう? 私の資産のほとんどは金融資産だから極めて換金性が高い。つまり納税分のお金などいとも簡単に準備できます。

そして納税後、普通にまともに運用すれば、運が良ければ5年、運悪く市場の調子が悪かったとしてもまぁ12年も経てば軽〜く2倍程度にはなります。つまりその時点で納税額分はチャラです。

その後は時間の経過とともにさらにさらに何倍にも増やしていけばいいだけです。次の相続発生までどれだけの歳月が残されているかにもよりますが、まぁ普通に 10倍前後には増やせて当たり前だと私は思っています。

この「世代をつなぐ資産のバトンリレー」が、もし運良く数世代続けば(たとえ相続のたびに相続税で半分持ってかれたとしても)米国株への超長期投資(Super-Long-term investment)が成立しますから、未来の子孫達は想像を絶する大富豪になっていることでしょう。運良く続けばですけど(笑)

その成功の鍵は、結局「お金と投資の哲学」が上手く子孫達に伝達・継承されていくかどうかにかかっています。まさに「魚より魚の釣り方を教えよ!」であり、つまりお金の教育こそ全てです!(魚 = お金も大事ですけどね 笑)

さて次に、私が「相続税対策」に否定的な二つ目の理由を申し上げます。それは「相続税対策」を行う事によって資産の質が著しく劣化するからです。これは私が米国株長期投資家であることと深く関係した考え方です。

世代を越えた米国株市場平均への超長期投資(Super-Long-term investment )を成立させるためには、株資産はたとえば VOO なら VOO のまま「移管」という形で相続されるべきです。つまり一切現金化されることなく株資産(ETF)という形のままで相続されねばなりません。資産の形を一切変えないことが何よりも肝心なのです。

形を変えないからこそ、そのまま複利が効き続けて、超長期投資(Super-Long-term investment )が成立し、世代を越えて超長期的に資産が爆増していくメカニズムを機能させることが出来るわけです。相続税対策で資産の一部を不動産などに投資してしまったら、資産全体の純度が下がり、たとえ相続税を大きく節税できたとしても、その後の運用に甚大なる悪影響が出てしまうわけです。

55%は確かに高いです。しかしそうであっても相続税は気前よくお国にくれてやればいいと私は思います。米国株市場平均という資産の純度さえ保てれば、10年程度で相続税分くらいチャラに出来ます。半分くれてやっても次の相続発生まで(約25年後?)に10倍に増やしてやれば別にどうと言うことはない。世代を越えるたびに計算上は5倍(2分の1 × 10倍)になりますね!

資産全体の純度を保ったまま、世代を越えて受け継ぎ、超長期の複利を働かせる。この目的を達成するためには相続税対策をしないほうが良い、というのが私の現時点における結論です。

(文: UEDA / 挿絵:αβγ)


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