第48回 家を買うなら不動産投資のロジックを絶対に無視してはならない


金融資産(S&P500等)がある程度以上の規模になるまでは、私はどなたに対してもご自宅の購入はお勧めしません。しかし、それでもどうしても家を買いたいとおっしゃるなら、少なくとも不動産投資のロジックだけは必ず知っておいて、絶対にそれを無視しないようにしなければなりません。

なぜなら大抵の場合、自宅の購入金額は買う人にとってあまりにも巨大過ぎる金額である事がほとんどだからです。ゆえにここでの判断ミスは、その人の一生の資産形成にとって挽回し難い致命傷となりやすいのです。

もし自宅を買うにしても、まず新築物件は論外です。大金持ちならともかく、普通の人が自宅として新築物件を買うという行為は、これから資産形成を目指す立場としてほぼ取り返しのつかないミスになります。なぜなら新築物件の価格には、売り手の儲けが余りにも大きく乗せられてしまっているからです。

新築物件は買ったとたん、中古物件に早変わりします。その物件の市場価格は(その物件の価格帯にもよりますが)場合によっては秒で千万単位の下落を遂げます。こんな狂ったように気前良過ぎる買い物をしていては、百年たってもお金持ちにはなれません。

いいですか。あなたがどのような思いで自宅を買おうとも、あなたは間違いなく不動産投資をするのです!

「私はマイホームを買うだけだ! 不動産投資なんかするつもりは毛頭ない!」

と、いくらあなたが頑なに言い張ろうが、あなたは自宅取得を通して必然的に不動産投資家としての巧拙を問われてしまうのです。そして犯した判断ミスについては余すこと無くその結果責任を100%背負うのです。1ミリたりとも逃げられません。この動かぬ事実だけはくれぐれも肝に銘じましょう。

ちなみに、どうしても持ち家を買いたいなら中古物件です。しかも買取額の土地・建物比率において、なるべく土地比率が高いものを選ばなければなりません。理想的には、土地:建物 = 9:1です。なぜなら新築された建物ですら、この日本においては20年経てば建物価値はゼロ円と評価されるのが慣例だからです。

つまり、自宅のリセール・バリューは(事実上)土地分の価値しか認めてもらえません。建物は、たとえちゃんとお金をかけて修繕を欠かさず、立派な建物であり続けることを維持し続けて来たとしても、その努力は(リセールにおいて)ほぼ評価されることはありません。基本、築後20年以上経った自宅建物のリセールにおける評価額は(それまでのメンテナンスの履歴に関わりなく)すべてゼロです。

だから、自宅として中古物件を探すにあたっては、以上の点を特に慎重に厳しく検討しながら物件を吟味しければいけません。間違っても不動産会社のセールストークに乗せられないようにしなければなりません。

純粋な投資活動としての不動産投資じたいは、人によって向き不向きがあるし好き嫌いもあります。私個人は性格的に不動産投資には向いていないし苦手なのでしていません。しかし最低限の知識は勉強しています。あなたも、もし家を買うのなら不動産投資の最低限の知識、そのロジックは必ず勉強しておきましょう。その勉強は自宅購入にあたり取り返しのつかない判断ミスをしないために絶対に必要な勉強です。

ところが、世の中の大多数の人々は、不動産投資について一切勉強することなく自宅を購入してしまいます。つまりほとんど間違いなく深刻なミスを(自覚することなく)してしまっているはずです。しかも35年ローンで。これではどんなに働いて稼いで倹約して貯めても、なかなかお金持ちになれないのは当然です。

(文: UEDA / 挿絵:αβγ)


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