現在お買い物カゴには何も入っていません。

西暦2000年以降(直近の四半世紀)に見られるコモディティ市場全体の特徴のひとつとして、ゴールドの長期的上昇傾向が挙げられます。これによりゴールドを活用することで株式市場の暴落に対処する、というより暴落に対して反撃を仕掛ける難易度が劇的に下がっています。
今回の助言はやや上級者向けです。新NISA が始まって以来生まれて初めて株式投資を始めた皆様は、遠い未来において使えるかも知れない知恵としてお読みください。初心者は(今は)あくまでも「動かざること山のごとし」で、暴落に遭遇しても愚直に(今している)積立投資を続行するのが正解です。
では、やや上級者向けである事をお断りした上で、株式市場の暴落に反撃し、むしろ資産を増やす方法を以下に述べます。
西暦2000年以降に起こった三度の暴落、すなわちドットコムバブル崩壊、リーマンショック、コロナ暴落をそれぞれ見てみると、いずれもゴールドはさほど下がらずむしろすぐに反転上昇しています。つまりゴールドは株価暴落に対する極めて優れたリスクヘッジ資産として機能し続けて来たわけです。
過去四半世紀と同様に、次回の暴落でも同じように金価格が振る舞うと仮定すると、ピンチであるはずの米国株の大暴落が、逆に私達の資産を増やすチャンスとなり得ることが分かります。
シナリオは次の通りです。
①まず米国株市場が大幅下落する日が連続し始める。
②最初はゴールドも株価下落とほぼ同時に下落する可能性が高いでしょう。しかし、その下落幅はおそらく株価の下落幅よりも小さい傾向にあり、時間の経過とともに両者の下落率の差は開いていくでしょう。
③株価はやがて、まるで那智の滝を流れ落ちる水のように、真っ逆さまのチャートを描いて下落する。
④ゴールドは早くも下落が落ち着き始め、時々反発し始める。
⑤VIX指数(恐怖指数)は急上昇し、株価は時々反発上昇するも、結局は崩れてさらに大きく下落し続ける。
⑥ゴールドが反発し始める。上昇幅も大きくなっていく。アップダウンしつつも、全体としては上昇していく。
⑦株価は暴落前最高値のマイナス20%を越える。(そろそろ買い向かいを意識し始めるべき頃合いです)
⑧金ETF の一部(%は各自で考えてください)を売り、ドルを得、そのドルで米国株(仮にVOOとしましょう)を買う。(VOOとは S&P500 に連動する ETF)
⑨株価が、暴落前最高値のマイナス30%を下回ったら、金ETF もかなり大きめに売却して VOO を思い切り買い向かう。最終的には、金ETF の割合を全資産の 10%にまで低下させ、VOO の割合を全資産の 90%にまで上昇させる。
⑩さらに株価が下落した場合は、あとは耐え忍ぶのみ。当分証券口座は見ない。開かない。株の事は綺麗さっぱり忘れて、今の人生を楽しむことに全集中しましょう(笑)
⚫️比率について
参考として私のアセットアロケーションを紹介いたしますと、2025年10月現在時点は、
初期段階(暴落前)
VOO:金ETF = 7:3
株価が暴落して金価格が上昇することにより、以上の比率は(仮にVOOが30%下落、金ETF が10%上昇と仮定すると)以下の様に変化します。
第二段階(暴落の底(?)付近)
VOO:金ETF = 6:4
これに対して、金ETF を売りVOOを買うという操作を徐々に行うことによって、両者の比率を最終的には、
第三段階(暴落の底(?)付近)
VOO:金ETF = 9:1
にする予定です。残っている1割の金ETF は、さらなる株価下落に備えて温存します。とりあえず以上で終了です。
暴落中の以上の操作により、第一段階と第三段階では、VOOの株数が1.5倍に増えているのがお分かりになりますか。この状態のまま株価が暴落前最高値まで回復すると(つまり落ちた株価が元値まで戻ると)それだけで私の VOO資産は暴落前の1.5倍にまで激増することになります!もちろんゴールドは4分の1に減っているので全資産合計では(計算上)プラス11%あまり程度です。
さて、もちろん現実にはまずこんなに上手くはいかないでしょう。最高にうまくいっても(元値に戻った段階では)資産全体ではプラス 11%あまり程度です。しかし、ゴールドポジションがあるおかげで、私達は暴落をただ耐え忍ぶだけの立場から、暴落を逆手に取ってむしろ資産を増やすチャンスに変えることが可能になるわけですから、暴落が恐怖ではなく楽しみになります。
株価暴落時のゴールドの値動きについて、もちろん次回も過去四半世紀の三度の暴落と同じように動くかは分かりません。しかし、どの道未来は予測不可能なのです。そして私たちは、その予測不可能な未来に、過去の研究と分析そして未来への洞察によって立ち向かう投資家です。確率論的に期待値の高い行動をとり続ける投資家です。未来の不確実性を受容できない投資家は永久に絶対成功できません。
最後になりましたが、投資は自己責任でお願いします。以上の記事はあくまでも上級者向けであり、また「私UEDAはこうする!」をご紹介したものです。初心者には(ゴールドを持つことはお勧めしますが)暴落中に動くことは(最初から決められた積立投資の続行以外)お勧めしません。それでは皆様、グッドラック!
(文: UEDA / 挿絵:αβγ)
“第81回 ゴールドは、次の暴落を資産増のチャンスに変える” への1件のコメント
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[…] 前回『第81回 ゴールドは、次の暴落を資産増のチャンスに変える』の記事を書いていて私は気付いたのですが、暴落前最高値のマイナス30%では(仮に最高に上手く反撃できたとしても)値が戻った時にたかだかプラス11%程度にしかならず『暴落を利用して資産を激増させる』という具合にはいかないことが(記事を書きながら)私は分かりました(反省) […]
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