第121回 成功度合いが普通以上に高い投資家は運が良いだけかも知れない

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ここで言う「運」とは、純然たるサイコロ振りではありません。もう少し複雑です。

優れている(と思われる)投資家は、投資判断をするにあたり確かに論理的思考を巡らせます。しかし彼のアウトプット( = 結論)が、純然たる論理的思考のみで導き出されたかと言えば、ほぼ間違いなく違うと私は思います。人は物事を思考するに当たって、意識できるいわゆる「表面に現れた思考」と、意識できない「表面に現れない思考」との共同作業で行われている可能性が極めて高いと私は思います。

まさにこの点こそ、優れた成績を残す投資家から学ぶ事の困難さを如実に表しています。極限するなら、優れた投資家自身ですら自らの能力を十分には理解できていない。だからそれを他人に教える事ができない。

優れている(とされている)投資家が、ある結論をくだした時、彼はその理由をロジカルに説明することはできます。そして他者がそれを聞いて理解することもできます。しかし、なぜよりによってそのロジックなのか? 他にも無数のロジックが考え得るのになぜ? おそらく彼にはその理由は答えられない。なぜなら、よりによってそのロジックを使うことを決めたのは、彼の無意識(意識できない思考)だからです。

私 UEDA は、S&P500 への集中投資だけでなく、かなり以前からゴールドの比率を高めていました。それは結果的に私の最近のパフォーマンスを大いに高めてくれました。しかし、私がゴールドを持つことを本格的に周りの人に勧め始めたのは、せいぜい2025年8月始め頃です。私自身はそれよりも1年以上も前にゴールド現物をかなり大きく買い増ししていました。(2024年7月半ば頃)しかし、その時私は、ゴールドのポジションを増やすことを周りに薦めませんでした。なぜなら、少なくともその時の私の表面意識は、まだそうすべきでないと考えていたからです。今これを他人に勧めるのは無責任だと。自分自身は大きく買い増したのに!

2020年から続いてきた私の S&P500 とゴールドとのコンビネーションは、今でこそ「ゴルカン」だの「ゴルナス」だのと注目されつつあります。私も最近は盛んに S&P500 とゴールドとのコンビネーションをブログ記事などに書いて薦めています。しかし、私の行動はそれよりもはるかに早い時期に実行されており、しかも実行した時は、少なくとも私以外の人間に、私と同じことを勧めるべきでないと私の表面意識が認識していたという事です。なぜなら不確かだから。他人に勧めるのは無責任だと思えたから。しかし不確かだと(表面意識は)思いながら自身は迷いなくかなり多めの金現物買いを実行している。

投資が上手な人からは、きっとたくさんの事が学べます。しかし、その人の根幹となる判断力は(おそらく)学べません。なぜなら、その人ご自身も自分自身の判断に対して、その全貌は把握できていないからです。表面意識の思考は言語化して説明できます。しかし無意識の思考は本人にも言語化できない。どころか本人はその詳細すらわからない。

極言すれば、それは「運」だとも言えます。私の無意識の判断が外れる可能性だって十分あり得た。たまたま無意識の思考結果が現実と偶然一致しただけです。今までのところ私の無意識は(たまたま)良い判断をして来たという事になった。しかし、いつか私の無意識は現実と食い違った判断をするようになるかも知れない。だから過信してはいけない。

いずれにせよ、人は自分以外の人間になど決してなれないのだから、自分の特性、得意・不得意を受け入れて、自分自身というハードウエアを認め受け入れた上で、ご自分にとって最適な方法を見つけるしかない。幸い大枠で勝てる方法は「長期インデックス投資」である事が分かっているので、この万人が成功する方法を主軸としながら、自分独自の得意技を(しかし謙虚に)磨いていくしか無いのだと思います。そして特に短中期的には「運」の要素が極めて大きい事も自覚しておく必要があるなー、、、と最近私はぼんやりと考えております。

(文: UEDA / 挿絵:αβγ)


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