第71回 長期保有ゴールドと、機動的ゴールドを分けて保有しよう!


ゴールドには大きく分けてふたつの重要な役割があると私は考えます。①長期保有ゴールドと、②機動的ゴールドです。

①まずは『長期保有ゴールド』について

長期というより超長期保有して自らの資産を超長期的に守るのがその役割です。世界人口は少なくとも向こう50年間は増え続けることが予想されています。世界各国の通貨は人口の増加に伴って、いやそれ以上に発行(印刷)され続けるでしょう。日本に至っては人口が減少しているにもかかわらず、GDP が成長していないにもかかわらず、1万円札の枚数は指数関数的に大量印刷され続けています。

日本円はもちろん、全ての国々の法定通貨は(原理的に)無限に印刷できます。だから無限に増え続けます。しかしゴールドは地球上に存在する量が限られています。世界人口が増え続け、世界各国が指数関数的に通貨を乱発するに伴って、量が限られているゴールドの価値が指数関数的に増大するのは、もはや自明の理だと私は考えます。

したがって、すべての賢明なる投資家は、ご自分の資産全体のある程度の割合をゴールドで絶対に持つべきであると私は確信します。

さらに言うと、超長期保有するゴールドは現物に限ると私は考えます。なぜなら超長期なので、世の中や社会制度がどのように変遷するか分からず、手元に置いておける(銀行の貸金庫でもよい)ゴールド現物が一番確実で安全だと思うからです。また、一時の気の迷いで簡単に売ってしまいにくいのも現物の良さです。私自身は過去ゴールドでかなり大きく自らの資産を増やしましたが、それは小賢しく売買したりなどせず、長期保有し続けて来られたからです。もちろん今も持っていますし、これからも引き続き持ち続けます。

②次は『機動的ゴールド』について

これは長期保有用とは異なる、いざとなれば機動的に換金され、他のアセット(S&P500など)に換えることを(最初から)意識したゴールド・ポジションです。そしてこの機動的ゴールドは米国株市場の暴落や大暴落に対する、極めて有効かつ強力な反撃手段として機能します。

今「米国株市場は歴史的な過熱状態にある!」とよく言われます。しかしだからと言ってキャッシュ・ポジションを今すぐ引き上げた場合、暴落タイミングがなかなか来ないと、キャッシュ・ポジションはそっくりそのまま大きな機会損失に見舞われます。しかしゴールドは違います。たとえ暴落の瞬間がなかなか来なくても、ゴールド自体が(キャッシュと違って)価格上昇力がありますから、機会損失には(たぶん)ほとんどならない。(ならないどころか S&P500 を上回ることすら時々あります)

だからこそ、市場が明らかに過熱して来ているともしも確信できたなら、アセット・アロケーションを調整して機動的ゴールドのポジションを上げれば良いのです!

機動的ゴールドは(長期保有ゴールドとは異なり現物ではなく)金ETF(※1)に限ります。なぜなら暴落時に機動的に換金し、返す刃(やいば)ですぐさま暴落している株式(S&P500に連動するETFなど)を買えるからです。

比率については、これは個々の投資家がご自分で考えて決めるしかありません。私は平時は米国株8割、ゴールド2割と考えますが、米国株市場が過熱している = 臨戦時の今は、これにプラスして最低1割の金ETF をプラスしようと考えています。(もうしました)つまり米国株7割、長期保有ゴールド2割、機動的ゴールド1割といった感じです。(だいたいの比率です。あくまでも)

過去のデータを見る限り、米国株の暴落時にゴールドは少し下がっただけですぐに反転上昇したり、そもそも落ちなかったり、明らかに株式とは違う値動きをしてきました。(参照:第59回 株価が暴落した時、金価格はどう動いてきたか?

今回の投稿で私が述べたような手を事前に(暴落前に)打っておきさえすれば、ピンチであるはずの大暴落が、むしろ皆様の資産を爆増させる千載一遇のチャンスに変わる可能性が充分にあり得ると私は思います。ただしゴールドは(私の過去四半世紀にわたるゴールド保有の経験上)値動きは米国株以上にやばいので、たとえ急落しても全く気にしないメンタルは必須です。

(文: UEDA / 挿絵:KATO )

※1)私のおすすめの金ETF は、GLDM です。理由は手数料が安く資産規模も充分に大きいからです。米国市場が開いている時間内に米国株と同じ感覚で買えます。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP